「ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために」幡野広志

家族とは、「与えられるもの」ではなく、「選ぶもの」なのだ。

もしも改善の余地がない関係だったとしたら、たとえ親子であっても、その関係を断ち切ってしまってかまわないのだ。

NASAでは、サポートする家族についておおきくふたつに分類していた。

ひとつは「直系家族」。もうひとつは「拡大家族」だ。

ぼくがおもしろいと思ったのは、NASAの定める「直系家族」の範囲だ。

シャトル打ち上げ時に特別室に入ることが許された直系家族の定義は明確だ。

①配偶者②子ども③子どもの配偶者

までが、「直系家族」なのだ。

父親も、母親も、兄も、弟も、姉も、妹も、特別室に入ることはできない。血がつながっているはずの彼らは、みな「拡大家族」に分類されているのだ。しかも「拡大家族」には、乗組員の親友も含まれている。

がん患者の自殺率は異様に高い。

がんと診断されてから1年のあいだで、患者の自殺リスクは約24倍にまで高まるというデータもある。

安楽死という選択について、「死に方を選ぶこと」だと考えている人は多いと思う。

でも、これは「生き方を選ぶこと」なのだ。

自分がどのように生きたか、どのような気持ちでどのようにして最期を迎えたか、そういう「生き方」の問題なのだ。