「しょぼい起業で生きていく」えらいてんちょう

事業はアイデアから入るというより、人とのつながりや置かれている環境などの条件から、自分ができそうなことを発見して事業化していくものなのだと思います。

「お金を持ち逃げしない、好ましい人で、面白いことをやっている人」に人は投資します。

「面白いことを考える」ではないのがポイントです。世の中、思いつくまでは誰でもできます。

「始めてしまったけどこの部分でどうしてもお金がないんです!」なら出資する気になりますが、「こんな面白いことをやりたいんです!」だけだと出資を受けられる確率は低くなります。

実際に店舗を構えているということは、それだけで社会的ステータスを格段に上げます。

十店舗があるというだけで信用が爆上げになる。店舗経営者というのはコストパフォーマンスがかなり高いのです。

会社の事業が上手くいっているかどうかは、これで判断できます。

・店舗を毎日開けられているか(いつ行っても開いていると思ってもらえているか)

・店舗に人が来ているか(オープンスペースとして機能しているか)

・店舗の中で商品が回転しているか(いつ来ても同じものが同じように並んでいるお店には人が来なくなる)

・スタッフや自分は働いているか(いつも暇=コストの資本化効率が悪い)

ここで大事なのは、商品が適正な価格で売れている必要はないということです。

採算とか客単価とかは店が満員になったり、商品が片っ端から売れていくようになったりしてから、さらに儲けようと思ったときに考えることで、この段階でそんなことを考えても仕方ありません。

店は開いていれば、商品は回転していれば、車は走っていれば、人は働いていれば、それぞれその価値は実現されています。安くてもいい、なんなら無料でもいいから、とにかくすべての資本を動かし続け、眠らさないことが重要です。

まず「店を居心地のいい場所にすること」。そして集まってきた人たちが自然と動くようになる「生活・資産の労働化」。副次的な効果として、「活気がある店に見せる錯覚」。

そもそも広告とは何を目的にするかといえば、仕事が来ることです。

バーにとって一番効果が高い広告は「来てくれそうな人に直接宣伝してもらうこと」です。

店の近くに住んでいる飲ん兵衛のおじさんと仲良くなって「こんな店やってるんですよ、今度遊びに来てください」というのがもっとも効果が高い宣伝ということになります。

極端に言うと、自分がかいた汗の分だけ、自分が下げた頭の分だけ広告になるわけです。

つまり、広告宣伝費がないから開業できないというのは、ナンセンスです。広告宣伝費は、あなたの足や愛想でまかなうものなのです。

仕事してる感こそ、お客さんが仕事を依頼するいちばんの条件なのです。

大げさな大本営発表を繰り返すうちに、実際に依頼が来るようになっていき、その依頼を処理できるようになっていき、本当に仕事で忙しくなり、実際に繁盛しているお店になる、という寸法です。

なんとなく楽しそう!なんとなくすごそう!これだけで人は集まってきます。

逆に言えば、なんとなくつまんなそう!なんとなくダメそう!それだけで人はその店を舐めて離れていくのです。