「図解モチベーション大百科」池田貴将

【内発的動機付け】

自主的な行動に対してごほうびを与えると、内発的動機付けが失われる。

趣味など自分の欲求に従った行動は、何の見返りも、意義も、生産性もないからこそ良いのです。

一度でも報酬を受け取ってしまうと、本人が自覚しなくても、目的が「ただ、やりたいからやる」から「ごほうびをもらえるからやる」に変化します。

もし報酬をあげるときはサプライズであげてください。

 

【証明型と習得型】

自分の成長度合いによって評価された方が人は努力しやすい。

“客観的理由”は自分でコントロールしようと思ってもできないものだから、「評価を落とさないレベル」で満足するようになるのです。

モチベーションを短期集中で上げたいときは「周囲と競争する」のもいいかもしれませんが、「自分自身の進歩」を評価した方がより仕事を楽しみ、継続的に成績を伸ばしていくことができます。

 

【親近効果】

勧めたいものは右側に置く。

人は右にあるものを、より重要なものだとしてとらえる傾向がある。

私たちは物を見るとき、あるいは文字を読むとき、左から右に向かって視線を動かすため、右の物が一番新しい記憶になります。

 

【同調状態】

いったん皆で同じ動きをしておくと、性格の合う合わないとは関係なく、その後の仕事で協力関係を生みやすいということです。

 

【マインドセット】

「仕事の成果」や「お客さんからの評判」など、自分ではコントロールできないことを行動指針にしないこと。良い悪いの浮き沈みによって、日々の行動指針が影響を受けやすいからです。

 

【キャンディ効果】

いい大人がキャンディ1つで嬉しくなって、仕事を素早く、正確に仕上げるのです。

私たちが朝一番に優先すべき仕事は、今日の予定を確認することでも、たまった書類にサインすることでもなく、メンバーの「いい気分」を作ることでしょう。

 

【特異性信用】

地位が無い人が意見やアイディアを出すと嫌われやすい。

その場の主導権を握っている人たちは、原則として、影響力の低い人の意見を求めていません。

特異性信用を持たないとき、見せる姿勢としては、意見を出すことではなく、協力を申し出ることです。求められるアイディアの量は、チームにもたらした実績の量に比例するのです。

 

【目標設定理論】

人は求められた以上のことをしない傾向があるが、具体的で、難しすぎず、受け入れられるレベルの目標を提示されると、やる気を出す。

 

【泥棒洞窟実験】

一緒に楽しいことをするよりも、協力が必要な場面を共有した方が、信頼関係が芽生えやすい。

こじれた人間関係を修復させるにはどうしたらいいか?

親睦を深めさせようという試みは、かえってお互いの敵対心を増幅させるということがわかりました。

力を合わせなければ乗り越えられないような困難は、人の距離を縮める最高のチャンスなのです。

 

【社会的手抜き】

チームで動かなければならない場合は、仕事にとりかかる前に、一人一人の責任範囲を明確にしましょう。

まかせたら、口出しはしません。その代わり、誰も手助けしません。

強いチームというものは存在しません。強い個人が複数いる状態が存在するだけです。

 

【プロスペクト理論】

「得られるものは何か?」にフォーカスをあてながら考えると、リスクのある選択を避けるようになります。

「失うものは何か?」にフォーカスをあてながら考えると、損失を回避するためだったら、多少のリスクなら取ってもいいと考えるようになります。

 

【経験の自己と記憶の自己】

穏やかに快適に暮らす幸せもある。

けど、あとで振り返ったときに「あのときは大変だったけど、よい経験だった」と思える方が、脳はより幸福を感じる。

人は『幸福感』というものについて、自分自身を騙してしまうといいます。毎日、安心感のある場所にいるだけで、短期的には自分は幸福な人間であると思うことができます。

ところが、ずっと困難や変化を避け続けていると、「楽だったけど、もっと何かできたのではないか」という苦しさに、じわじわと追いかけられることになります。

 

【導かれる服従】

決断に際して、先にリーダーが助言をしてしまうと、思考機能が停止してしまう。

自分で考えて、自分で動ける人を育てるためには、助言をする前に、まず自分なりに考えて、結論を出してもらいましょう。

「どうしたらいいでしょうか?」と尋ねられたら、「どうしたらいいと思う?」と尋ね返してみるのです。

 

【透明性の錯覚】

自分の考えは、自分が考えているよりも、よっぽど読まれにくい。

まわりから「分かりやすい人」は良い人間関係を築けます。「分かりやすい人」になるためにも、言葉の使い方や表情の作り方を大げさにしましょう。やりすぎかなと思うくらいでちょうどいいのです。

 

【疑陽性と偽陰性】

当事者の予想は甘すぎる。管理者の予想は厳しすぎる。第三者の予想が一番当たりやすい。

新しい試みが上手くいきそうかどうか、真実を知りたかったら、なるべく『事情を知る』第三者から意見をもらいましょう。

甘すぎず、厳しすぎることもない、利害関係はないが、同じ喜びや苦労を味わっているプロフェッショナルの予想が、一番信用できます。