「投資思考」野原秀介

アメリカの投資コンサルタントであるチャールズ・エリスは、アマチュア同士の場合「いかにミスを犯さないか」が勝敗を決める敗者のゲームだと呼びました。

株式投資は敗者のゲームとしての性質を持つと氏は主張しています。

そのため市場全体に万遍なく投資して株式を保有し続け、経済成長を待つインデックス投資こそ最良であり、個々の株式を売買することで余計な経費や高い税金がかかることはテニスのアンフォーストエラー(単純なミス)に等しいと考えるのです。

ゴールドマンサックスにおける経営理念は全部で14の項目から成り立っていました。

その中でも特に大事にすべしと教えられたのが「我々は顧客にとっての利益を常に最優先する」というものでした。

しばらく働くうちに、明文化はされていないものの、先の経営理念よりも大事にされている価値観があることを学びました。

それは「長期的な欲深さ」と呼ばれるものです。

ビジネスである以上、商品を高く販売すれば企業の利益となる一方で顧客にとっては不利益になるように、企業と顧客とのあいだで利益を巡って綱引きが行われることは避けられません。

だからこそ一回の取引を見て利益を最大化しようとするのではなく、短期では自分たちが損をすることも受け入れ、顧客と長期的な関係性を築きビジネスの利益を最大化せよ、というのがこの言葉が表すところです。

すべての仕事は本来今すぐに完了されるべきもので、期限とは「このラインを超えると周りに迷惑をあっける・ビジネスに差し障りがある」ことを示すのだと頭を切り替えましょう。

そして基本的な仕事の進め方として、IRR(内部収益率)を高めることをゴールに据え、仕事の回転数を高めるようにしましょう。

資本装備率は個社要因というよりも業界要因によって決定されます。

ディベロッパーや商社の資本装備率は高く、外食産業や小売業の資本装備率は低く、同業界内の企業間での差異は無視してよいレベルと言えるでしょう。

つまり、あなたの給与はあなたが仕事でどれだけの実績を上げたかよりも、あなたがどの業界に勤めているかによって決まっているのです。

正面から求めるものを伝え、それを得るために自分の宿題にコミットすること。

正々堂々と話を進めるからこそ、自分の行動に筋が通ります。

相手方が誠実な交渉相手であれば、筋の通った行動に対しては、筋を通した行動で応じてくれるに違いありません。

ゴールドマンサックスという業界トップのファームで活躍する、数多くのスーパーセールスがそのテーマに取り組むのを間近で観察する過程で自分はそんな彼らが行う、一つの共通するアプローチを発見することができました。

それは「まず自分が相手のファンになる」ということでした。

「物事がうまく回っているあいだは余計な手入れをするな」

先輩のYさんは毎年セールスランキングの上位に名を連ねるほどの実力者でしたが、その仕事の型は意外とシンプルでした。

それは1社のクライアントと手がけて利益的だったトレードがあれば、それを自分の顧客ポートフォリオ全員に勧め、ひたすらそれを繰り返すというものでした。