俗人性があるビジネスのため、当然、一定規模以上にスケールさせようとすると苦労するだろう。
しかし、スモールビジネスを目標地点としているのならこれでよいのだ。
すでに金が支払われており、サービス提供者も儲かっている状態の市場に参入し、その金を少しかすめ取る方法を必死に考えて実行するのがスモールビジネスである。
私の周囲の儲かっているスモールビジネスオーナーは次のビジネスを行っていることが多い。
デジタルメディア・広告運用・人材派遣、SES、コンサルティング、システム開発、不動産運用、営業代行、教室、フリーランスマッチング
スモールビジネスでは革新的なことは目指さない。
そうなってくるとアイデアを考える方法はシンプルである。
・自分の経験を振り返る
・経験領域において儲かっている企業を発見し、儲かる手法を知る
・対象顧客セグメントを明確にし、バーニングニーズを発見する
・成功している企業の儲かる手法を改変し、マイナーチェンジコピー品を創出して大手が捨てた市場の一部を頂く
基本的にこれだけである。
顧客の真の課題を考える、ゼロベースで何かを生み出すなど不要だ。
すでに流れている金を自分のほうに少し引き寄せるだけでよい。
誰かが儲かっている、そこには金を払っている顧客がいる。
サービスの提供者は何らかの工夫により、そこで原価との差分であるマージンを得ている。
この事実こそビジネス検討の出発点として何よりも重視すべきというのが私の考えである。
そのポジションを取るだけの能力があればよいのだ。
決してその業界内部においてチャンピオンでないと、能力を活用したスモールビジネスとで成功しないというわけではない。
初期段階では必ずしもなくてよいが、ネットワークはスモールビジネスに取り組むうえで必須となる。
スモールビジネスに向いていない人は「信頼を大切にしない人」だ。
これは顧客に対してはもちろんであるが、協業相手に対してもそうである。誠実な人間としてネットワークを拡大させていこう。
特定領域で儲かっている会社が核としている戦略を見れば、その領域での儲け方が分かるのである。
事業領域内の成功要因をコピーし、その会社のミニバージョンを作りなさい。
エクセレントカンパニーを徹底的に調査しなさい。
まずは勝つことを何よりも優先させてほしい。
最初は無理やりにでも市場にねじ込めればよいのだ。
日本でも今は非常にクリーンな見せ方をしているが、創業当初はとても人に話せる事業のやり方をしていない人や会社など大量に存在する。どちらかというとこちらが標準である。
言動やアンケートは信頼に足らぬ。
極端なことを言えば、本音を把握するには行動以外見る必要はない。
調査では徹底的に行動を調べなさい。
自分がしそうな失敗はすでに他人がしてくれている。
多くの淘汰を経た結果としてビジネスモデルが存在するのだ。
他人が落ちた落とし穴にもう一度あなたが落ちる必要はない。
スモールビジネスでは革新的なビジネスモデルなんて求めないし、特殊な技術も必要としない。
十分に他社が努力し実証したビジネスモデルにコンテンツを付与し、美味しい顧客セグメントに当てはめるだけである。
特定のコンテンツ、特定の顧客セグメントに特化してしまうと、拡張性がないと懸念するだろうか?
これは反対に歓迎しよう。なぜなら拡張性がないということは同時に、他の領域との壁が高く簡単には参入されないことを意味するからだ。
ビジネスとは「金が払われるようなニーズを発見し、そこにサービスを当てはめて金をとる」というプロセスで成立する。
多くの人が特定のニーズが存在することを知っている業界の場合は、サービスを作って参入しようという者が増加する。機会に対して競争が激しくなる傾向があるのだ。
だから私はBtoBのビジネスが好きだ。BtoCのビジネスでも一般的な生活をしていては気付きづらいセグメントのニーズを狙った商売が好きだ。
スモールビジネスの根源的な強さは「ステイスモール」を意思決定している点にある。
ステイスモールを意思決定しているからこそ、弱いプレイヤーしかいない市場を全力でたたきに行けるのだ。
意思を持ってスモールビジネスに取り組みなさい。
売値は何によって決まるのか?
結論を言えば、相場と習慣である。
その金額を支払うことで得られる利益など計算不能であり、計算されもしない。
他社と比較してどうなのか。これが焦点である。
大手企業の3分の1です。他の事業者と比較して同じくらいの値段です。これでよい。
革新的なものを作りたいと考えるのは真に結構であるが、求められていないものを作ったとしても、あなたがもたらすのは解決よりトラブルである。
それでも本当にやるべきなのだろうか。
それはあなたが「革新的なものを作って革新的な人間だと評価されたい」という欲望が生み出した産物ではないだろうか。
「自分は普通に求められているものを普通に納品する」
これでよい。スモールビジネスの運営にイノベーティブやリスクテイクなどまったく必要ないのだ。普通に努力してほしい。
素人から「それって他社と何が違うの?」と問われることがあると思う。
端的に答えることができず、素人相手の説明には苦労するが、売れているものがよいものだ。
「それって他社と何が違うの?」に対しては「あまり変わらないと言えば変わらないけど普通に安いし、品質も安定している。僕は顧客や代理店に対しても誠実に対応しているからそこそこ売れている」
これを目指しなさい。
当初はグレーゾーンから参入し、あとから毒抜きをしてクリーンなビジネスに展開するという手法は大量に存在する。
最初はとにかく売れることを重視すべきである。
その観点では事業開始を華々しくSNSでアナウンスできるようなものではないほうが望ましい。
また、SNSで事業開始をアナウンスしたとしてもメリットはほぼない。そこでの賞賛など求めないべきではない。
強引な手法でも、あとから後ろ指を指されるような手法でも、とにかく最初は生き残るために市場にねじ込むべきだ。
まず参入時点では競合優位性は鉄壁である必要もないし、目指せもしない。
鉄壁の競合優位性があるビジネスなど世の中にはほとんどないし、スモールビジネスの初期段階において、本気で競合に叩かれたら優位性を保てないし保つ必要もない。
競合優位性は段階的に作ればよいのだ。